武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【怜、気まずい】

10月24日(金)

 

【怜、気まずい】

ローソンに夕ごはんを買いに行ったときのことである。1品決め、あともう1品の最終候補として残ったのが、ピザまんと安納芋まんだった。しかし中華まんのケースを見てみると、安納芋まんはケースの中に2つ入れられてはいるが、まだ準備中のようだった。迷っていた私にとっては、かえってありがたい事態であった。

ところが、私がレジで女性店員に「ピザまんひとつ」と言ったのとほぼ同時に、隣のレジで会計をしていた女子高生が、「安納芋まんってありますか?」と男性店員に聞き、店員はなんと「あります」と答えたのだ。

このタイミングでこんなことが起こるということは、残り1つになった安納芋まんが私を呼んでいるのではないかという気がしてきて、私も女性店員に、「安納芋まんってありますか?」と聞いたのである。女性店員は男性店員に確認をとってくれた後、「あります」と答えた。

そこで無事安納芋まんを手に入れて、私は心も安納芋まん同様、ホクホクのまま帰ることができるはずだったのだが、隣の女子高生が、「安納芋まんなくなっちゃったよ」と、私の後ろに並んでいる彼女の友達に声を掛けたことで、私は「安納芋まんありますか?」と聞いた女子高生の友達も、安納芋まんを食べたがっていたという事実を知ってしまった。

私が「安納芋まんが私を呼んでいる」などと思い込み、隣の女子高生の真似をして「安納芋まんありますか?」などと強気に出てしまったせいで、後ろの彼女は安納芋まんを食べることができなくなってしまったのだ。

安納まんが目の前で消えてしまった彼女は、「さとみ悲しい」と言った。