武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【ひとつ優しさを見せられなくなった】

10月25日(土)

 

【ひとつ優しさを見せられなくなった】
先週末の朝、おべんべんとケンカをしたまま一緒にコンビニに朝ごはんを買いに行った。当然一緒に行きたくなかったのだが、私一人で行った場合、お互い様だが、私のことをエースコックの豚と思っているであろうおべんべんの分の朝ごはんまで選んであげることにイライラして、またケンカになる気がした。かといっておべんべん一人で行ってもらって、そのときの私の気分でないものを買ってこられても、またケンカになる気がしたのだ。おべんべんはどう思っていたかわからないが、少なくとも私は、更なるケンカを防ぐために、仕方なく一緒にコンビニに行くことにしたのだ。
玄関のドアを私が開け、先に外へ出た。そのときに靴を履いているおべんべんに対して、ドアを抑えて待つことをせず、私は先にスタスタと階段の方へ向かった。それが高圧的な態度を見せていると伝わったらしく、おべんべんは更に怒った。私は、この状況の中、一緒にコンビニに行くことで更なるケンカを防ぐ努力をしている自分と、ドアを抑えなかったという些細なことでケンカを盛り返そうとするおべんべんを比較し、私の方が正しいと思ったため謝らなかった。ただ、そこで終わりにしておけばいいものを、ケンカを盛り返そうとするおべんべんのことが憎らしくなって、「私がドア抑えないのなんて、いつものことじゃん」と言ってしまった。
それは嘘である。ドアはたしかに、今までは抑えてあげていたのだ。その日私はたしかに、ドアを利用しておべんべんに高圧的な態度をとったのだ。
そんな発言のせいで、その後私は、おべんべんと出掛けるときにドアを抑えてあげることができなくなった。抑えてあげたら、「ほら、『いつも抑えてない』って言ったの嘘じゃん」と言われるのがこわいからだ。