武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【茶色いパンジャック】

10月31日(金)


【茶色いパンジャック】
コンビニに朝ごはんを買いに行ったときのことである。
パンコーナーに異変が起きていた。棚の上段の8割を、茶色が占めていたのである。小学生の頃、市川動植物園で馬を選んで写生したときに、茶色の絵の具ばかりを使うことになり、「私小学生なのに、どうして茶色ばかり使っているんだろう」と茶色い気持ちになった日のことを思い出した。あの日からしばらくの間、コンクリートも黄色で塗るようになった。
茶色の同じパンが大股一歩分くらいの長さで棚に押し込められていた。その横で、買おうと思っていた白いパンが、「これが『肩身狭い』って言うんですね、なーるほど」と、窮屈なため少し嫌味を混ぜて言っていそうな様子で、これまた押し込められていた。
そこのコンビニでは、レジの前に学校で使っていた大きさくらいの白い机がひとつ置かれていて、いつも少年ジャンプなどの漫画本が3種類ほど並べられている。私はいつも、それらの表紙に写っている水着姿の人達をチラ見して、彼女達の胸の大きさや肌の白さを羨んでいるということを店員に悟られていないかを気にしているのだが、今日はその机にまで、茶色いパンがぎっしりと置かれていたのである。大学生がツイッターで、「発注ミスwww」とつぶやきそうな事態であった。