武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【ギャンブル丼】

11月24日(月)


【ギャンブル丼】
近所のスーパーで買う弁当は決まっている。私はシャケ弁で、おべんべんは鶏の照り焼き弁当である。シャケ弁はないときが多く、そのスーパーに弁当を買いに行くとき、私はいつも、シャケ弁がなかったときのことを想定しているのだが、おべんべんの弁当はだいたいいつも並べられている。そのことを私は、少子高齢化の象徴と呼んでいる。しかし先日、年配肉ブームが起きたのか、珍しくおべんべんの鶏の照り焼き弁当が売り切れていたのだ。なんの心の準備もしていなかったおべんべんは、「日替わり丼」を買った。
日替わり丼というだけに、日替わりなのだろう。しかし日替わり丼には日替わり丼としか書かれておらず、それが親子丼なのか中華丼なのか天丼なのかは、自身の目で判断するしかなかった。その日の日替わり丼は、トンカツのような揚げ物を卵でとじている丼、つまりカツ丼に見えたため、おべんべんは日替わり丼を買ったのだ。
食べてみたおべんべんも、それを見ていた私も驚いた。トンカツだと思っていたそれは、実はカキフライであり、その日の日替わり丼は、「カキフライ卵とじ丼」だったのである。中身の表示がなく、カツ丼そっくりなものを、カキフライ卵とじ丼と当てられるということは、「この人だれ?」と知らない人の写真を見せられ、「加瀬雅子さん」と13回ほどで当てることと同じくらいすごいことではないだろうか。
カキフライが苦手なおべんべんは苦笑いを浮かべ、私はシャケ弁を食べながら大笑いしていた。私に食べられるシャケがかわいそうだと思いながら。