【ゆうじくんときさきちゃん】

3月30日（月）

【ゆうじくんときさきちゃん】

高校受験が終わった頃、お母さんの職場の、ゆうじくんときさきちゃんという、当時婚約者か、既に夫婦だったか、少なくとも恋人同士ではあったお兄さんとお姉さんから、お祝いに、たれぱんだのぬいぐるみをもらった。

そのときは、二人にまだ会ったことがなくて、私が二十歳のときに、ゆうじくんにはやっと会えて、あぁ、たれぱんだの、と言って、五年越しくらいに直接お礼を言えた。

ゆうじくんときさきちゃんは、まったく同じたれぱんだのぬいぐるみを二体くれた。

だから私は、一体をゆうじくんと名付けて、もう一体をきさきちゃんと名付けた。みんなそうすると思う。

ゆうじくんときさきちゃんは、一見全く同じたれぱんだだけれど、私は絶対に二人を見間違えることはない。見間違えたら、何かが終わってしまう気がしているからだ。