武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【I can do itウォーター】

5月10日(日)

【I can do itウォーター】
中学生の頃、夏休みに法事で出掛けた川越で、当時手紙の交換をしていたバスケ部の先輩、「バスケ部の先輩」というと、有無を言わせずかっこいい男子に聞こえるけれど、私が手紙交換をしていたのは、自分が所属していた女子バスケ部の先輩だ。バスケ部の先輩が女子だったことと、ベッドの上にいるのに横になるのが面倒だから寝たいけれど寝られなくて寝不足になる私なんかが、ザ・運動部であるバスケ部に所属していたこと、どちらが意外だったろう。
ここで彼女にお土産を買って、今度手紙と一緒に渡そうと思って、帰りがけに駅前のお土産屋さんに入った。
そこには女子中学生が喜びそうなものはなかったのだけれど、近くにこれといった他のお店もなかったから、私はそこで惰性で数珠のブレスレットを買った。
中学一年生が中学三年生に数珠を渡すのだ。その異様さを少しでも緩和させようと、私は数珠と一緒に先輩に渡す手紙に、「どこにも書いていないのですが、これは『恋が叶うブレスレット』らしいです♪」と嘘を書いた。
先輩が信じてくれたかどうかはわからないけれど、例えばスーパーで百円で売られている菓子パンを、「これはフランスの一流シェフが作ったパン」という情報を植え付けられてから食べると、「なんだか、たしかに・・・」程度に高級な味がするものだと思う。ちょっと得をした気分だ。
だから私は水を飲むとき、ただそれを体内に送り込むのではなく、水に"I can do it ウォーター"と名前をつけてから飲むようにしている。
「これは、どんなことでもできる人になれる水だ」
そう思って飲むと、I can do itな気がしてくるのだ。
今朝、うっかり普通に、というかどちらかというとネガティブなことを考えながら水を一口飲んでしまったから、一口分継ぎ足して"I can do it ウォーター"にして飲み直したら、めんどくさかった。
読んでくれている人の数パーセントがわかれば良い方だと思うのだけれど、「アグリーベティ」の「不死鳥ウォーター」になってしまったら恐ろしい。