武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【私は見えているのだろうか】

5月21日(木)

【私は見えているのだろうか】
交番に行って道を聞いても、お巡りさんが誰ひとりとして反応してくれなかった経験もないし、さっきだってサンクスで何事もなく買い物を終えられたからそんなわけないのはわかっているのだけれど、知らない人達に私は見えているのだろうかと、いつもうっすら不安なのだ。
だからエスカレーターに乗るときに譲ってもらえたり、入り口のドアを抑えてもらったときには、表情と心がコーンスープのCMの人よりも良いものになる。
おべんべんが家から一番近いローソンに行ったら店員さんに、私が最近来ないけれどどうしていますか、と聞かれたらしい。
なにそれ。
私、この街の一員みたいではないか。
街のコンビニの店員さんに見えていただけでなく、覚えてもらっていた上に、更に思い出してまでもらっていたのだ。
カバオくんが風邪をひいてアンパンマンは心配する。それと同じことだ。
これはエスカレーターやドアどころの騒ぎではない。向こう八年分くらいの自分の存在の確認ができた。怜の存在大確認祭だ。
私はカバオくん並みに自分が住む街に溶け込めていることがわかった。ということは間違いなく、知らない人にも私が見えている。
けれどさっき外を歩いていたら、人に反応する照明が、私が通り掛かった瞬間に消えた。