武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【ミミズク、いざもらえないとなると】

6月1日(月)

【ミミズク、いざもらえないとなると】
3コインズにタイツを買いに行ったら、入り口に、猫のトートバッグが「人気商品!」というポップと共に並べられていた。顔だけの猫がたくさんいるデザインが可愛いと思った。
中へ進んで行くと、「1000円以上買うとトートバッグプレゼント!」という張り紙があった。そのトートバッグが、入り口で見たあの猫のトートバッグと同じものだと思ったから、私は1000円以上の買い物をしようと心に決めた。
けれど貧乏性が発揮され、半額のシールが貼られているタイツを選んでしまったりして、買うものの数が増えた。
タイツ以外に何か買うべきものはないかと店内をうろつきがてら、再びトートバッグプレゼントの張り紙を見てみると、プレゼントされるトートバッグの柄が、よく見たらミミズクだった。
鳥類は大好きだ。首を傾げて毛をくしゅくしゅさせてくれるときなんか、私にだけ見える龍と出会えたときくらいに幸福感を得る。けれど「トートバッグに鳥類」は、私の中で違った。だから私は入り口の猫のトートバッグを買うことにした。
レジに並んでいるときに、ふと気付いた。この買い物は1000円以上になるはずだから、ミミズクのトートバッグをもらえてしまうだろうということに。
猫のトートバッグを買った上にミミズクのトートバッグまでもらうとは買い物が下手だし、私の本命の猫と同じ家で暮らすことになる、私の本命じゃないミミズクのことを思うとやりきれない気持ちでいた。
2足買ったタイツのうち、ひとつが半額シールの貼ってあるものを選んだのだけれど、いざレジに行ってみると、店員さんに、「すみません、シールが貼られていないのですが、こちらも半額です」と言われた。だから会計は972円になり、ミミズクをぎりぎりもらえなかったのだ。不思議なもので、惜しい気持ちになった。