武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【心の傷が癒えていく】

6月6日(土)

【心の傷が癒えていく】
私の記憶が正しければ、アメリカの「奥様は魔女」というドラマの主人公サマンサと、彼女のご主人ダーリンの出会いのエピソードが可愛くて大好きだ。
道でばったり会って、サマンサが右に避けようとしたらダーリンも同じ方向へ、逆へ避けようとしたらまたダーリンも同じ方へ避けようとしてしまい、これ以上ぶつからないようにするために、お茶を飲みながら話し合おうということになったのだ。
これのお茶のくだりを抜きにしたものなら、きっと多くの人が経験していると思う。私も月に1度の頻度でこれがある。鈍臭い私はほとんどの場合、相手が自転車だ。一番印象深いそれは、中学時代に遡る。
帰り道にギャルの先輩が2人乗りしている自転車と歩行者の私がそうなってしまった。
先輩だ。しかもギャルだ。1年生は先輩に挨拶をしないと呼び出される学校だった。
「これ以上ぶつからないようにするために、お茶を飲みながら話しませんか?」など言えないし、そこから一番近い喫茶店は、中学生らしからぬキーコーヒーのお店(焼うどんが美味しい←店名ではない)だったから、サマンサとダーリンのように人間関係がプラスに働くことはなく、自転車を運転している方の先輩に「なんだよ!」とムカつかれてしまった私は、バス停へ向かいながら、立ち直ろうと思っては凹み、の繰り返しで、波打つように心がカビていくのがわかった。
それ以来、私はその現象を、サマンサとダーリンのエピソードで素敵なものに位置付けようとしても、ギャルの先輩の「なんだよ!」に引き戻されてできずにいたのだが、友達はその現象を、お互いが道を譲り合った結果起こることだからいいことだという解釈をしていた。
それを聞くまでは、サマンサとダーリンvsギャルの先輩2人で人数が同じだったが、友達もサマンサとダーリン側についたから、徐々にあの現象に対する苦手意識がなくなってきている。
けれどその友達、交通マナーが悪い人には人一倍厳しく、「焼肉焼いても家焼くな」のリズムで、「頭悪いなら外出るな」などと罵ってしまう。
誰にでもよくない面はある。私も、2ギガしかないスマホのおべんべんに「テザリングがあるじゃん!」と言い放ってWi-Fiを奪う。