武井怜のこの世は遊び場

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【漢字があった】

12月1日(月)

【漢字があった】
縦長の計算ドリルと横長の漢字ドリルで作るTの字
という短歌を以前作った。
「三丁目のタマ」のイラストが描かれた「計ド」、「漢ド」が懐かしい。
タマやタマの仲間達に励まされながら、それらをこなしていったおかげで私は、ある程度の計算ができるようになったのだと思う。
そして漢字の読み書きも。
漢ドでの勉強に加え、義務教育中、毎日のように朝自習も授業もテストもあったのに、それでも今になって、この字に漢字あったんだ、と発見をすることがある。
「チャーハン」に漢字があることを知ったのは、高校の部活中だった。
料理部ではなく演劇部で、台本を読んでいるときではなく舞台装置を作っているときだったから、なぜあのとき、チャーハンの漢字が急にわかったのかが思い出せず謎である。
「炒める飯」で、「炒飯」
やだ、「イタメシ」じゃん。
すごい発見だと思った。
もしかして、今まで耳にしてきた「イタメシ」というのは、イタリアの飯ではなく、チャーハンの別名だったのか?
それとも、私が今まで「イカめし」と聞き違えていただけで、「イタメシ」なんて言葉は、この世にないのではないか?
炒飯の漢字の発見をしたら、思いがけずイタリアの飯のことまでが押し寄せてきて、しまいにはイカめしまで駆けつける始末で、私は疑問パニックに陥った。
それをそのまま部員に投げかけたら、「炒飯とイタ飯は別物だよ」と教えられた。
部員とは毎日毎日、即興劇などの基礎練習を共にしていた。夏合宿では夜の鴨川で肩を組み、海に向かってスピッツの「空も飛べるはず」を歌ったのだから、これ以上ないというほどに信頼関係が築けていた。
部員の言葉により、「イタメシ」を「イカめし」と聞き違えていた説は消え、「イタメシ」という言葉が存在するということはわかった。
しかし私は、「イタメシ」はイタリアの飯ではなく、チャーハンの別名なのではないかという考えは、消すことができなかった。
信頼している部員の言葉でさえ信じられないほどに、自分の中でそれはすごい発見だったのだ。
「ままはは」もそうである。
その言葉は、意外と小さい頃に知った。
シンデレラをビデオで見たからだ。
私は「ままはは」という言葉とその意味を耳だけで知ったため、「ママ母」だと思っていたのだ。
実際に血が繋がっていないからとはいえ、母親であることをそんなに強調しなくてもいいのに、とは思っていた。
「ママ母」には「継母」という漢字があることを知ったのは、つい先週のことだ。
それまで、ママ母の男性版、つまり継父のことを、「パパ父」というのだと思っていた。