武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

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【昨日節分だったっけ?】

6月4日(木)

【昨日節分だったっけ?】
節分の翌日2月4日だけは、道に豆が落ちていても不思議に思わないから、私は今日、ちょうど4ヶ月前の今日にタイムスリップしたのかと思った。山手通りの歩道に、節分の日に活躍する豆がけっこうたくさん落ちていたのだ。
道の上にコンクリート以外のもの、吐いたものやガムや、「ヒラメ」と「太ったヒラメ」と書き添えられた2匹のヒラメの落書きなどがあるとき、そこには必ず誕生の瞬間が存在する。
吐いたものやガムの誕生の瞬間には立ち会いたいとは思わないけれど、6月の山手通りのコンクリートの上に豆が誕生した瞬間には立ち会いたかった。
リアル鬼でも現れたのだろうか。実際に鬼が現れていなくて冷静な頭で考えることしかできない今は、鬼が現れても逃げるかまたはやっつけるかで、豆撒きはしないだろうと思う。けれど人は焦るとどうしようもない行動をとることを、高校時代のアルバイトで学んだ。お弁当屋さんで働いていたのだが、お鍋を空焚きしたことか何かで、お鍋から発火させてしまったときに焦った私は、がっつりマスクをつけながら火に向かってフーフーと息を吹きかけていたのだ。
だから急に鬼が現れたら、「鬼!豆撒き!」という考えに至るかもしれない。
帰りにも豆はあった。そこに一羽の鳩が来ていて、豆を食べていた。
鳩って本当に豆食べるんだと感心しながら、「何で豆あるんだろうね」と問いかけた。