武井怜のこの世は遊び場

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【九年間『ママ』に引っ張られたアメリカン達】

12月22日(月)

【九年間『ママ』に引っ張られたアメリカン達】
三年ほど前から見ていた、「ママと恋に落ちるまで」というアメリカのドラマの最終回を見た。
これは二〇三〇年、主人公のテッドが子供達に、彼らの「ママ」、つまりテッドの奥さんとどうやって出会って結婚したかを話していく物語なのだが、私達視聴者は最後のギリギリまで、「ママ」が誰だかわからないようになっているのだ。
このドラマは九年間も続いた。
私は再放送を見ていたから約三年で最終話を見ることができたが、リアルタイムで見ていた人達は、九年間もの間、「ママ」が誰かわからないことを楽しみ、苦しみ、引っ張られてきたのだ。
最終回で見た結末は、私はすんなりと受け入れられた。
しかしある記事に、アメリカでは、その結末に納得できず、撮り直しを要求する署名活動が行われたと書かれていたのだ。
すごいな、と思ったが、その記事に書かれていた、「九年間も待たされてこの終わり方」という言葉を見て、署名活動をした側の気持ちもわからなくはないような気がした。
九年間、ずっと待っていたのだから。
九年。ほとんどの食べ物の消費期限が切れてしまう長さだ。
名前書くくらいなら、やってしまうかもしれない。
二万人もの人が。
しかしなんと、そのドラマのDVDに、別の結末が収録されているというのだ。
おお!
でもだめだと思う。
結末が複数あると、一気に「ドラマ」になってしまうから。
見たいが。ものすごく。