武井怜のこの世は遊び場

歌人、随筆家の武井怜のブログです

歌人・エッセイスト 武井怜のブログです

【大人こそかわいいかわいい】

5月28日(木)

【大人こそかわいいかわいい】
小さい頃、お母さんから「怜ちゃん」と呼ばれただけでは返事をせず、「かわいいかわいい怜ちゃん」と呼ばれて初めて返事をしていた私は、ニュースの生中継で、通信環境が悪くてスタジオから「◯◯さん」と自分の名前を呼ばれても返事をしない現場のリポーターを見て、「この人も、『かわいいかわいい◯◯さーん』って呼ばれたら返事するかな」と言ってお母さんを笑わせた。
本当はそんなこと全く思っていなかった。これを言ったらお母さん笑うかなと思って、なんとなく発した言葉だったのだ。
大人になると「子供は純粋」というイメージがついてそう思いがちだけれど、自分の子供の頃を思い出してみるとどうだろう。お風呂もトイレも一緒に入っていた親ですら入れない頭の中では、けっこうエッチなことを考えたり、冷静に、ときにずる賢く物事を見つめていることも少なくなかったのではないかと思う。だから少なくとも私は、子供の頃はあまり「かわいいかわいい怜ちゃん」ではなかったのだ。
むしろ本当に純粋なのは、いろいろな経験を積んだ大人になってからとる行動なのではないだろうか。私は電話帳の自分の名前を「神様」と登録している。
きっかけは以前、救いようもなく病んでいたときに、神様にメールを送るつもりで、「神様、もう二度とあんなことしません」と自分宛てにメールを送り始めたことだった。それを笑い話にできるようになった今でも「神様」のままにしているのは、パソコンから自分のスマホに画像などを送るとき、神様からメールが届いたようで、みんなより神様と仲良しな気分になれて嬉しいからだ。
「満腹や胃もたれがないとして、死ぬ前日に食べたいものリスト」も、メールに保存して日々更新している。
ある程度のことは冷静に考えるのが当たり前とされている上、子供の頃よりいろいろな経験を積んだ大人がとる、こういった行動こそ純粋で、「かわいいかわいい怜ちゃん」などと呼ばれたら、今こそ返事をしてしまってもいいのではないかと、ちょっと思う。